ディープインパクト〜世界最強馬〜【全レース動画まとめ】

ディープインパクト。確かに彼が、世界で一番強い競走馬だった瞬間がありました。彼のレース動画を、デビュー戦〜引退レースの有馬記念まで、解説付きで全レースまとめました。
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※動画はYoutubeより
 

2005年10月23日

菊花賞〜三冠の意味〜




2005年10月23日の淀は何もかもが異常だった。

入場人員は137,601人、前年比182%。

話題になったオルフェーヴルの菊花賞ですら68,289人。


競馬場の飲食物は午前中で消えた。

普段は無視されている淀駅に特急列車が止まる。


ディープインパクトの単勝は1.0倍。

GTでの1.0倍は遥か昔、40年前のシンザンまで遡る。

10,000円掛けようが、100,000円掛けようが1円も儲からない。

にも関わらず、単勝オッズは元返しのまま本番を迎えようとしていた。

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さすがの武豊も緊張していた。

「負けたら向こう正面から帰ろうと思っていた。」というレース後の言葉もあながち冗談では無いだろう。

珍しくそれまでのレースで勝星が無く、他の騎手も武豊の顔が青かったと語っている。


シックスセンス、ローゼンクロイツ、アドマイヤジャパンといった面々に加え、上がり馬のフサイチアウステルといったメンバーがいたが、最大の敵はディープインパクト自身であった。


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狂気にも近い歓声に包まれ、ゲートインが進む。

ディープインパクトは7番枠からのスタート。

いつに無く完璧なスタートを決める。

しかしそれが仇になった。


前に壁が作れず、激しく口を割って引っ掛かる。

1周目の坂の下りでそれはさらに激しくなる。

ディープインパクトが1周目のゴール板を本当のゴールと勘違いをしたのだ。

武豊が懸命になだめ、インコースに誘導したが、そこでアドマイヤフジと接触する。

スタンド前の大歓声もあり、押さえが効かない。

3,000mという距離で、通常ならばロスは致命的だ。


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1周目のゴール板を過ぎ、何とか折り合いがつく。

前を見ると、アドマイヤジャパンが2番手でピタリと折り合っている。

鞍上は長距離レースの上手さには定評がある横山典弘。

シックスセンスはディープインパクトの真後ろで虎視眈々とその首を狙う。


4コーナ手前ではアドマイヤジャパンとの差は10馬身以上。

淀でこの差は危険だ。

セイウンスカイスペシャルウィークを封じた時、後にはイングランディーレが逃げ切った時、ブエナビスタが前を捉え切れなかった時など、枚挙に暇が無い。


ディープインパクトはいつもより少し遅いタイミングで上がっていき、大外を回り5〜6番手で直線を向く。

アドマイヤジャパンが突き放す。

悲鳴にも似た歓声が場内を包む。


しかし。

ディープインパクトはいつもの通り。

大外から飛んできた。


アドマイヤジャパンを交わすと、アナウンサーが叫んだ。

「世界のホースマンよ見てくれ!これが日本近代競馬の結晶だ」



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史上6頭目の三冠馬。

史上2頭目の無敗の三冠馬。


レース前には、形骸化しつつある三冠を目指すより、凱旋門賞に出走すべきでは?
との声も聞かれた。

確かに世界的に見ても3,000m以上の大レースは減り、スピード重視の傾向が変わることは無いだろう。


しかし、だからこそ、ディープインパクトが菊花賞を目指し、勝ったことに意味がある。

凱旋門賞を目指していたら、淀に13万以上の人が集まることは無かった。

3冠を目指す馬も2度と出てこなかったかも知れない。


変わっていかなければならないものがある。

しかし。

変わってはいけないものも、確かにある。

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レース後、武豊はまだ少し青い顔でこう言った。

「負けられないレースだった。感無量です。」

ディープインパクトと武豊の、1つ目の戦いが終わった。



posted by deepimpact20020425 at 00:00| レース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする